「天風録」中国新聞から引用

「天風録」 2014・1・28(火)
 日本語に訳すと「脂肪肝」だという。
美食家がよだれを垂らす世界三大珍味のフォアグラである。コクがあって滑らかな食感はアンコウの肝を思わせるとも聞くが、何せ高級フランス料理の定番。おいそれとは味わえない。
 本場でもそう変わらないようだ。本誌夕刊の「海外メール」で広島育ちのマリエ悦木嘉子さんが書いている。「普段あまり、お目にかからない」。おせち料理数の子のイメージに近いらしい。
 それほどの食材をハンバーグに載せたコンビニ弁当が、きょうから日本でお目見えするはずだった。しかし一部の消費者からの講義で中止に。ガチョウやカモの喉にパイプを突っ込み、餌を流しいれる。残酷な食べ物ではないか、との言い分。
 「動物福祉」といった考え方があるそうだ。家畜に必要以上の苦痛を与えるべきでないー。そんな風潮が欧米で主流という。デンマークでも今月、フォアグラを売っていた最後の店がついに白旗を掲げた。
 結局は食べてしまう、人間様の身勝手にも思えてくる。とはいえ、目鼻のついた家畜や魚がどこか
でどうさばかれ、私たちの口に入るのか。思いを致すのは「命」をいただく側の礼儀かもしれない。

  ※世界3大珍味
   〇 キャビア
   〇 フォアグラ
   〇 トリュフ
  ※日本3大珍味
   〇 ウニ(塩ウニ)
   〇 カラスミ(ボラの卵巣)
   〇 このわた(なまこの腸の塩辛)