「天風録」中国新聞から引用
「天風録」 2014・1・27(月)
”水は方円の器に随う”、という。それは鋳物にもは当てはまろう。金属を溶かした「湯」を型に流し込んで、自在に物を作る技を磨いてきた鋳物の街広島。寺社の灯籠までも、たたけばカンカン音がして。
多くが現役を引退した手押しポンプもそうだ。
津田式の鋳物のよさ言ふ友人のポンプは錆び付き野井戸の飾り[宮本勝人)
「津田式」は大正の世に広島で考案され全国に普及する。元船乗りの歌人は帰農して、さびた道具を磨いた。
広島駅南口の津田式1基が原爆資料館で保存される。被爆以前にあったか定かではないが、復興の歩みを知るのは間違いない。それが再開発で撤去される。誰かの思いが詰まっているだろうに、という住民の声が報われた。
20年前の本誌で、津田式が日常使われる寺町通りのようすをルポしている。ピーク時には遠く及ばないが、当時はまだ月50基の製造が続いていた。方言なら、いちがいな「頑固」というところ。広島人の心意気だろう。
方円の器に随う。転じて、人は周りに感化されやすい、という意に。
NHK会長が「組織のボルトとナットを締め直したい」と語った。組織は適度に締めても、人は型にはめない方がいい。
※"水は方円の器に随う" とは
人は交友・環境しだいで善悪のいずれにもなるというたとえ。
※ 津田式ポンプ
◎今日光税務署から確定申告書用紙が届いた。